渡米前・補遺

その後、2つ思い出した。

補遺1:父の見送り
父が会社に出勤するために駅に徒歩で向かうのを、マンションのベランダから見送っていたのを思い出した。
父がこっちを向いたら一生懸命手を振った気がする。

補遺2:自転車
初めて補助輪なしの自転車に乗れた瞬間は誰にとっても印象的な瞬間なのではないだろうか?
僕にもその瞬間があった。
両親、特に父に補助輪を取った自転車を後ろから倒れないように支えてもらいつつ、押してもらい、その状態で自転車をこぐという動作を何度も繰り返した。
場所は住んでいるマンションの裏の道。駅に向かう道だ。
父が毎朝駅に向っていた道である。
「手を放すよ」とか「放さないで」とか、そんなやり取りを何度も繰り返して、
もう一生補助輪ありでいいとか、挫折しそうになりながら、最後の最後にやっと乗れるようになった。
両親の見ている前で補助輪なしの自転車を乗り回した記憶がある。
これでもう大丈夫と。
もう夜になっていた気がする。
一度補助輪なしで乗れるようになると、補助輪がどうして必要だったのか、前の状態には戻れない。不思議なことに。